帰化申請における転職の影響について

 
転職回数が多いと帰化申請に影響しますか?

 

Q1. 私は日本に来てから何回か転職をしております。転職の回数が多いと帰化において悪影響があるとも聞きますが本当でしょうか?また、申請後に転職をした場合に、何か手続きが必要になりますか?

 

A. 転職の回数が帰化申請に影響を及ぼすかどうかはその転職の性質などにもよります。転職と帰化において大切なことは第一にその転職が生計要件に悪影響を及ぼすものかどうかです。また、帰化申請後に転職をした場合は、追加書類を提出しなければなりません。

 

もう少し詳しく解説していきましょう。

 

帰化の要件の一つに生計要件があります。

 

「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」(※)

 

 ※国籍法第五条の五

 

というものです。

 

永住申請と違い年収要件があるわけではありませんので、月の収入から支出を差し引いて生活が成り立っていれば問題ありません。

 

目安としては手取りで月18万円です。

 

※2022年の4月以降、帰化の審査基準が厳しくなり、年収300万円以上はないと許可を得るのが難しくなるのではないかという情報も入ってきております。

 

ちなみに預貯金の額よりも、大切なのは安定的かつ継続的な収入です。

 

つまり、転職をしてどれほど年収が高い企業で働くことになったとしても、転職したばかりで帰化申請をした場合には、安定的かつ継続的に収入が得られるかどうかについて、厳しく審査されてしまうことになります。

 

そのような理由から、当事務所では、転職前後1年間は帰化申請することをお勧めしておりません。

 

また、転職回数の多い方については、その転職の理由も審査対象になります。

 

キャリアアップの過程で転職を繰り返し年収も上昇しているか、職場の人間関係や仕事がいやになったなどの理由で短期間に転職を繰り返しているのかでは、審査官の印象も違ってくるでしょう。

 

ここでも申請人が安定的かつ継続的に収入を得ていけるのかについて厳しい審査をされることになります。

 

帰化申請後に転職をした場合は、変更の届出を提出しなければならず、法務局審査官から追加書類の提出も要求されます。

 

追加で提出した書類についても審査されることになりますので、審査機関が長引くことになります。

 

帰化申請後であっても、やむをえず転職をしなければならないこともあると思いますが、大切なことは、そのような事情に関しても嘘偽りなく法務局審査官の質問に答えることです。

 

帰化における転職の影響についてまとめると以下の通りです。

 

● 転職後に年収があがったということよりも、安定的かつ継続的に収入を得られるかの方が大事。転職してから1年は実績を積みましょう。

 

● キャリアアップの転職なのか単に嫌になって辞めたのかという転職の理由も大事。

 

● 帰化申請後に転職をする場合は、変更の届出と追加書類の提出が必要。嘘偽りのないことが大切。

 

帰化申請で許可が得られるのか迷った場合や帰化申請のやり方がわからない、忙しくて手が回らないという方は、是非、行政書士李国彦事務所にご相談いただければと思います。