普通帰化の要件

 

帰化の3種類の記事でも触れたように、普通帰化の対象となる外国人は、一般的な外国人です。

 

普通帰化の要件は、国籍法第5条で規定されております。

 

以下に普通帰化の要件をリストアップします。

 

@ 居住要件

 

A 能力要件

 

B 素行要件

 

C 生計要件

 

D 喪失要件

 

E 思想要件

 

F 日本語能力要件

 

それぞれの要件は条文を読むだけでは抽象的でどこまでの程度を指しているかわかりにくいところがあります。

 

そこで、ここでは、それぞれの要件について具体的に解説していきます。

 

居住要件

 

【国籍法第5条第1項第1号】

 

引き続き五年以上日本に住所を有すること

 

注意しなければならない点が2つあります。

 

一つ目は、「引き続き」という言葉が意味するところです。

 

次の条件を満たす必要があります。

 

@ 日本を出国していた期間が5年間の間に連続して90日以上ないこと

 

A 年間で合わせて100日以上日本を離れることなく日本に住み続けていること

 

これらの条件が満たされない場合は、「引き続き」日本に居住しているとは認めてもらえません。

 

二つ目は、5年間のうち、就労系の在留資格で3年以上の期間就労している必要があるということです。

 

就労しているというのは、正社員・契約社員・派遣社員などの雇用形態を指します。アルバイトは認められません。

 

 

 

能力要件

 

【国籍法第5条第1項第2号】

 

十八歳以上で本国法によって行為能力を有すること

 

民法の改正によって、2022年の4月より日本の成人年齢が引き下げられ、成人年齢がそれまでの20歳から18歳になりました。

 

ここで注意しなければならないのは、申請者ご自身の本国においても成人に達していなければならないことです。

 

素行要件

 

【国籍法第5条第1項第3号】

 

素行が善良であること。

 

「素行が善良である」の意味は以下の通りです。

 

● 年金・税金等をきちんと納税していること。

 

※ 贈与受けた場合の贈与税などもきちんと納税していなければなりません。

 

● 交通違反や交通事故、前科、犯罪歴がないこと

 

※ 駐車違反やスピード違反も含まれます。ただし、程度の問題はありますので、ご相談ください。

 

● 暴力団に加入していないこと、関わりがないこと

 

※家族も含めて

 

● 破産歴がないこと

 

● 家族の素行も善良であること

 

これらの要件については、生まれてから現在に至るまでの全期間が対象になります。

 

包み隠さずに正直にすべてを報告しなければなりません。

 

年金・税金については滞納をしている方がよくいらっしゃいます。

 

直近1〜2年分の所得税や住民税を滞納している場合は必ず完納してから申請しなければ許可はおりません。

 

また、会社経営者の方は、直近2〜3年分の法人税・法人都民税・法人区民税・法人事業税等を完済してから申請する必要があります。

 

生計要件

 

【国籍法第5条第1項第4号】

 

自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること

 

申請者ご自身で、または、生計を共にしている配偶者の方やその他の親族の方の収入によって、しっかりと生計が成り立っていることが必要です。

 

年収要件ではありませんので、年収がたとえ300万ほどだったとしても、食費・家賃・光熱費等を差し引いても、安定的に収支が成り立っていれば問題ありません。

 

とはいえ、手取り月収18万ほどは確保しておきたいところです。

 

喪失要件

 

【国籍法第5条第1項第5号】

 

国籍有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

 

喪失要件は、国籍要件や重国籍防止要件などと呼ばれることもあります。

 

日本では二重国籍は認められておりません。

 

ゆえに、帰化が許可されて日本国籍を取得した際には、元の国籍を失うことができるということが要件とされております。

 

思想要件

 

【国籍法第5条第1項第6号】

 

日本国憲法施行の以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと

 

憲法遵守要件とも呼ばれたりします。

 

又はや若しくはが多用されており分かりづらくなっているところはありますが、要は日本政府を暴力で破壊するいことを企てたり主張したりする者やそのような団体を結成したり加入している方にかんしては帰化はできませんということになります。

 

日本語能力要件

 

この要件については、国籍法に規定されておりません。

 

ただし、日本人として日常的に生活をしていく程度の日本語の能力が必要になります。

 

帰化申請後の審査官との面接で日本語能力を審査されます。

 

審査官が必要だと判断すれば日本語のテストを解かなければならないこともあります。

 

そこで出題される日本語のレベルは、小学校1〜2年生程度のものではありますが、小学校3〜4年生程度の日本語能力は習得しておきたいところです。

 

※日本語能力試験(JLPT)でN3〜N4レベルです。